薬剤師で3児の母、ゆりです。
産まれてから生後一ヶ月までは、赤ちゃんだけで入浴させる「沐浴(もくよく)」という方法で、お風呂に入れます。
新生児といっても、赤ちゃんはものすごく新陳代謝が活発。
しっかり洗ってあげないと、お肌のトラブルを引き起こす原因になってしまうのです。
沐浴のポイントは「しっかり汚れを落とすこと」と「赤ちゃんの全身を観察すること」。
最初は不安でいっぱいですが、だんだん慣れますのでがんばって行きましょう!
赤ちゃんの沐浴とは?
産まれたばかりの赤ちゃんは、抵抗力が弱いため大人とは別のお風呂に入れます。
ベビーバスなどにお湯を張って、赤ちゃんをお風呂にいれることを「沐浴」といいます。
赤ちゃんの汚れを落としてキレイにすることはもちろん、お湯につかることで新陳代謝が活発になり、ママやパパとのスキンシップもとれる、赤ちゃんにとってもママ&パパにとっても、とても大切な時間。
また、全身を丁寧に洗いながら、赤ちゃんにトラブルが起きていないかを確認することも大切です。
ちなみに二人目以降だと、赤ちゃんを単独で沐浴させるのは、かなり大変なのですが、時間をずらしてしまってもかまわないので、新生児の間だけは家族とは別のお風呂で沐浴させてあげてください。
沐浴はいつまで続ける?
沐浴は、産後一ヶ月まで続けてください。
一ヶ月健診がすぎれば、自宅のお風呂なら大人と一緒に入っても大丈夫です。
この時、大人用の入浴剤などは、赤ちゃんにとって刺激が強すぎたり、温まり過ぎてのぼせてしまったりする可能性があるので、使用しないようにしてください。
お風呂の温度も、大人が「ちょっとぬるいかな…」と思うくらいが赤ちゃんにはベストです。
沐浴させる時間はいつが最適?
いつがいいという時間は決まっていませんので、朝でもお昼でも、夜でも構いません。
ただし、基本的には毎日同じくらいの時間に入れてあげるようにしましょう。
毎日の沐浴時間がバラバラになると、赤ちゃんの生活リズムが整いにくくなってしまいます。
授乳やお昼寝のタイミングでちょっとずれてしまって、17時からになったり、18時からになっても大丈夫。
せっかく寝ている赤ちゃんをわざわざ起こしたり、授乳を我慢させてまで厳守する必要はありません。
だいたいいつも17時半くらいに入ろうね~と決めていればOKということなので、赤ちゃんもママも無理なく進めてくださいね。
パパやおばあちゃんがお手伝いをしてくれる時間など、無理のない時間に決めて、毎日そのリズムを守っていくと、ママも赤ちゃんも楽です。
パパの帰りが遅い場合は、朝出勤前に沐浴させてしまってもOK。
昨日は朝、今日は夜で、明日はお昼頃…なんてことになると、赤ちゃんも混乱してしまいますので、スケジュールに無理があるなと思ったら、途中で変更して毎日続けられる時間に設定しなおしてくださいね。
沐浴をしないほうがいいとき
- 赤ちゃんに熱があるとき
- じゅくじゅくした湿疹があるとき
- 極端にお腹が空いているとき
- 授乳の直後
お熱があるときは、体力を消耗してしまいますので沐浴はおやすみします。
汗をかいたときには、お湯で濡らしたタオルでさっと拭いてあげてください。
じゅくじゅくした湿疹のあるときは、まず皮膚科(or小児科)に受診してください。
入浴についても、お医者さんの指示通りに。
お腹が減りすぎているときは、まず授乳して落ち着かせてあげてください。
ご機嫌が悪くなって、ギャン泣きになってしまうので、ママ&パパも赤ちゃんもしんどいです。
ギャン泣きで沐浴するくらいなら、時間をずらしてしまってOK。
授乳直後の場合も、沐浴中に戻してしまう可能性があるので、しばらく時間をおきましょう。
授乳が終わって(おっぱいを口から離してから)から30分もすれば大丈夫です。
ゲップはしっかり忘れずに。
沐浴に最適なお湯の温度と入浴時間
沐浴の際の適温は、だいたい38度~40度くらい。
冬場はお湯も冷めやすいので、ちょっと高めでも大丈夫ですが、大人が「ちょっとぬるいかな?」と思うくらいが適温です。
時間としては、およそ5分くらいで完了するのが目安になります。
沐浴のために準備しておきたいもの
- 石けん
- ガーゼ
- ベビーバス的な何か
- バスタオル
- 湯温計
- 洗面器もしくはボウル
これだけ準備しておけば大丈夫。
それぞれ詳しく解説していきます。
石けん
いわゆる「沐浴剤」というものではなく、きちんと石鹸成分が入ったものを選びましょう。
赤ちゃんの身体は、大人が思う以上に汚れています。
皮脂汚れなどは石けんで洗わないと落ちないので、汚れの落とし残しがあると肌トラブルの原因になってしまいます。
オススメは泡で出てくるポンプタイプのもの。
片手で赤ちゃんを支えながら、固形の石鹸を泡立てるのはちょっと大変なのです。
ガーゼ
ここで言うガーゼは「沐浴布(沐浴ガーゼ)」ではなく、普通のガーゼハンカチのこと。
普段の赤ちゃんケアに使うガーゼハンカチを流用すれば、特別に用意する必要はありません。
赤ちゃんの顔を拭いたり、髪の毛を拭いたりと言うときに使います。
沐浴布(沐浴ガーゼ)とは?
出産準備品などによく出てくる「沐浴布」。
使いみちとしては、沐浴の際に赤ちゃんの胸にかけておいてあげると、赤ちゃんが安心して沐浴できるというものです。
……が、わざわざ用意する必要は全くありません。
そもそもお風呂大好きで沐浴布なんて全くいらない赤ちゃんもいますし、ちょっと不安な赤ちゃんも、普通のガーゼハンカチをかけてあげるだけで充分。
それまで着ていた短肌着をお胸にかけて代用してあげることも出来ます。
それまで着ていた自分の体温や匂いがそのまま残っているので、当然ですよね。
ベビーバスは本当に必要?
ベビーバスは大きくてかさばるし、沐浴は一ヶ月しかしないし…ということで、ちょっと購入するのに抵抗がありますよね。
最近は、洗面所に敷いてつかうタイプのシートや、キッチンの流し台にセットするタイプ、空気でふくらませるタイプなど、住宅事情に合わせたコンパクトなものが色々発売されています。
「ベビーバス」という形にこだわらず、ご家庭の状況に合わせて選んでみてください。
ママやパパに抵抗がなければ、洗面所やキッチンのタイプは、腰をかがめる必要がなく沐浴が出来るので、とても楽ちんでオススメ。
お湯が出たりシャワーがついている洗面台なら、沐浴にも最適です。
バスタオル
大きめのバスタオルだと、赤ちゃんを寝かせたまま、包むようにふいてあげることが出来て楽ちん。
生後一ヶ月までは、一応、大人用のものとは分けておきましょう。
湯温計
赤ちゃん用の湯温計は、用意しておくことをおすすめします。
大人が手を入れて温度を測ればいいのですが、大人がちょうど良いと思う温度が赤ちゃんにとっては熱すぎることがよくあるのです。
よほど温度感覚に自信があるのでない限り、数百円でかさばらないものなので、用意しておくと安心。
「こんなもんかな」と思っても、実際に温度計で測ると熱すぎるということがよくありました。
手桶(洗面器)もしくはボウル
赤ちゃんのお顔をふいたり、髪の毛を吹くためのガーゼを取り分けておいたキレイなお湯で洗うためと、赤ちゃんにお湯をかけてあげるときにあると楽ちんなため。
最近はシャワーがメインなので、手桶や洗面器がないお宅も多いと思います。
わざわざ購入する必要はなくて、キッチン用のボウルを一つ沐浴用にしてしまってもOK。
沐浴の手順
沐浴の仕方については、自治体や産院の母親学級や両親学級で産前に教えてもらえると思います。
また、産後の入院中に、実際の赤ちゃんを沐浴させる「沐浴指導」があるところがほとんどなので、それをしっかり聞いておけば大丈夫。
多少、洗う順番が変わっても大した問題はないので、気軽に始めてみましょう。
きちんと準備してからスタート
沐浴がスムーズに行くかどうかは、全てこの準備にかかっています。
まずは、室温を確認。
冬場、浴室が寒すぎる場合には、リビングルームで沐浴してしまうのもアリです。
赤ちゃんのお着替えスペースに、肌着とカバーオールをセットした状態で広げておきます。
すぐに手がとどく範囲に、保湿剤、綿棒、ベビーオイル、おへそのケア用品などを全てセッティング。
準備が整ったら、赤ちゃんを裸にしていきましょう。
くれぐれも、オムツを外すのは、お湯に入る直前に。
いざ沐浴スタート
基本の手順は…
- 顔を拭く
- 頭を洗う
- 身体の前面を洗う
- ひっくり返して背中を洗う
- 足を洗う
- かけ湯をして完了
ポイントは、首や腕、足の付け根などのくびれた部分や、握った手のひらの中をしっかり洗うこと。
寒い季節は、頭を洗い終わった段階で、硬く絞ったガーゼで髪の毛を拭いてあげると冷えません。
↓助産師さんが沐浴指導をしている動画です。
忘れてしまったときや、パパに見せたいときにどうぞ。
沐浴後のケア
お湯からあげたら、すぐにバスタオルで包んで優しくおさえるように水分を拭き取ります。
髪の毛もわすれずに、しっかり拭いてあげてください。
これから色々ケアをしていくのですが、まずはオムツをお尻の下に敷いておくことをオススメします。
男の子の場合は、しっかりカバーしておかないとぴゅーっとおしっこを飛ばしてくれたりしますので、テープはせずに(テープをとめてしまうと、このあとの保湿ケアやおへそケアで手間が増えるので…)かぶせておくところまではしておきましょう。
女の子の場合は、お尻のしたに敷いておけば大丈夫。
全身に保湿ケア
ベビーローション、オイル、クリームなど、赤ちゃんのお肌に合わせた保湿剤を、全身にたっぷり塗っていきます。
首のシワの部分や、脇の下、足のつけ根などの部分にも念入りに。
このとき、ベビーマッサージをしながら保湿剤を塗ってあげるのもオススメです。
おへそのケア
新生児のうちは、綿棒に消毒用のエタノールをつけて、優しく消毒します。
詳しくは、産院の指示に従ってください。
お耳、鼻のケア
お耳やお鼻は、「掃除をする」というよりも、沐浴でついた水分を綿棒で拭き取るという感じ。
汚れが気になるときは、手前の部分だけなら、ベビーオイルをつけた綿棒で優しく拭き取ってもOKです。
奥の場合は、耳鼻科へ受診してとってもらいましょう。
-
オススメのベビーオイル5選。赤ちゃんのための正しい選び方とは?
ゆりこんにちは。 薬剤師で3児の母、ゆりです。 一本常備しておくと、赤ちゃんのスキンケアに大活躍してくれるベビーオイル。 お耳やお鼻のお掃除、脂漏性湿疹でカサカサになってしまったカサブタをふやかしたり ...
服を着せる
ケアが終わったら、手早く服を着せてあげましょう。
水分補給は忘れずに
大人とおなじように、赤ちゃんもお風呂のあとは喉が乾きます。
母乳の場合は、そのまま授乳してあげてOK。
ミルクの場合、次のミルクの時間までまだ時間があるようなら、白湯か麦茶を飲ませてあげてください。
ベビーパウダーは?
昔は、赤ちゃんのお尻が真っ白になるくらいベビーパウダーをはたいていたのですが、最近ではとくに必要はありません。
逆に「毛穴に詰まるから使ってはいけない」というのも、根拠のない噂です。
おむつかぶれが酷い赤ちゃん、あせもが酷い赤ちゃんには、ベビーパウダーを正しく使うと楽になることもありますので、必要に応じて、正しく取り入れてみてくださいね。
↓こちらの記事が参考になります。
まとめ
生後一ヶ月までの赤ちゃんは、大人とは別にベビーバスなどでお風呂に入れます。
このとき、いわゆる「沐浴剤」ではなくて、石けんできちんと洗ってあげることが肌トラブルの予防には大切。
沐浴布は、専用のものは不要。普通のガーゼや肌着でも代用可能です。
沐浴の時間は、何時でも大丈夫。なるべくパパやおばあちゃんが手伝ってくれる時間帯に設定しましょう。
湯上がりは、しっかり保湿ケア。
保湿しながらベビーマッサージをしてあげると、赤ちゃんもご機嫌です。