薬剤師で3児の母、ゆりです。
でも、今と昔ではかなり環境も違うんだ。
詳しく説明していくね。
今回は、「そもそも保湿が必要なのかどうか」からその理由、「いつからいつまで保湿すればいいのか」まで、保湿剤ケアの基本をお話します。
保湿剤ケアは必要? 不要?
数年前までは、「保湿が必要」派と「保湿は必要ない」派で意見が大きく別れていました。
ですが、ここ数年研究が大きく進んで、保湿ケアをすることでアレルギー疾患の発症を予防することができるという研究発表があったり、生後すぐから保湿ケアをすることで肌トラブルを減らすことができるとわかってきたことから、一般的に保湿はするべきという意見が大半です。
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが分かりました。そして、アトピー性皮膚炎発症が卵アレルギーの発症と関連することも確認されました。
ドライな肌(肌が乾燥した状態)になると、肌のバリア機能が弱くなるため、外部からの刺激を受けるようになってしまいます。お肌の乾燥はさまざまなトラブルのもとになります。しっかり保湿してケアすることが大切です。
「全くトラブルもないし、乾燥もしない」という赤ちゃんの場合は、ベビーローションなどを使った保湿ケアをしなくても大きな問題にはなりません。
ただし、赤ちゃんのお肌はとてもゆらぎやすく、突然乾燥気味になったり、湿疹ができたりとトラブルを起こしやすいのが特徴です。
肌トラブルを未然に防ぐためにも、出来る限り毎日の保湿ケアはしっかりしてあげることをオススメします。
特にカサカサしていたり、肌荒れや湿疹などのトラブルが起きているときには、必ず保湿ケアをしてあげてください。
自分が子どもの頃は保湿なんてしなかったけど?
現代の生活は、とにかく乾燥しがちです。
家は鉄筋コンクリートで空気が流れない。
常にエアコンで湿度はカラっと。
さらにPM2.5を始めとした大気汚染物質は、お肌にも刺激を与える原因に。
また、昔に比べてとっても清潔になった現代。
毎日毎日、石けんでしっかり全身を洗うことでも、赤ちゃんのお肌は乾燥していきます。
ママやパパが赤ちゃんだったころに比べて、現代は赤ちゃんのお肌にとって、とにかく過酷な環境なのです。
どうして保湿が必要なの?
赤ちゃんの肌はとても薄く、大人の半分の厚さしかありません。
しっかりフタがされていない状態なので、水分が蒸発して乾燥しやすく、ちょっとした刺激を防ぐ機能もまだ未熟なのでトラブルが起こりやすいのです。
カサカサと乾燥した状態では、かゆみや肌荒れを起こしやすくなります。
保湿ケアの目的は、お肌のバリア機能をサポートしてあげること。
ベビーローションやクリームなどの保湿剤でお肌を整えてあげることで、すこやかなお肌の成長をサポートしていくのです。
赤ちゃんの肌の様子の変化
生後3ヶ月までは、皮脂の分泌は多めでちょっと脂ギッシュな赤ちゃん。
お肌はべたべたしがちで、新生児ニキビができることもあります。
4ヶ月頃からは皮脂の分泌がおさまってきて、今度はカサカサになりやすくなります。
皮脂のバリアが少なくなるので、炎症が起きたり、湿疹になったりとトラブルが増えてくるのもこの頃から。
保湿はいつからいつまで?
あぶらギッシュな時期は必要ないよね?
それに生まれて数日経つと、赤ちゃんってだんだん皮がむけてこない?
あれもベビーローションを塗れば治るの?
ずっとお水の中に入っていたのが、外に出てきて急に乾燥することが原因なんだ。
正確には、最初に沐浴したときからね。
赤ちゃんの保湿剤はいつから塗る?
ずばり、「産まれた日から」です。
……とはいっても、入院中はなかなか難しいので、退院して自宅へもどったらで大丈夫。
(最近は、赤ちゃんが生まれたときについている「胎脂」がとても大切な保湿成分だと言われるようになって、生後すぐには沐浴しない産院も増えています。
「胎脂」は、どんな保湿剤よりも優秀な保湿効果があるので、もちろんこの期間は保湿不要です。
ママによる保湿ケアは、沐浴が始まってからでOK)
新生児期は全身の皮がむけてきたり(脱皮!?と驚きます)、カサカサしやすかったりするので、ぜひ全身を優しく保湿してあげてください。
保湿することで、皮むけはだいぶマシになります。
その後しばらくすると、油ギッシュになってきますが、ここでも保湿は継続して大丈夫。
オイリーなのが気になる場合は、ベビーオイルではなくベビーローションで保湿してあげると、お肌がいい感じにしっとりします。
時々「生後3ヶ月までは保湿は不要」ということを言う助産師さんなどもいますが、皮脂の分泌が多いのは大人と同様にTゾーンや頭皮が中心。
お顔以外の全身は、そんなに皮脂が分泌されないのでカサカサになります。
(実際に触ってみるとわかりますよね)
また、皮脂の分泌で起こる「脂漏性湿疹」の場合なども、しっかり洗って保湿してあげるのが一番の対策。
「皮脂があるから保湿はいらない」ではなく、「不要な皮脂はしっかり落として、清潔にしてから保湿」とおぼえておいてください。
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが分かりました。そして、アトピー性皮膚炎発症が卵アレルギーの発症と関連することも確認されました。
こちらの論文でも「新生児期(=産まれた直後から生後一ヶ月までの期間のこと)から」と明記されていますね。
いつまで保湿してあげればいい?
毎日続ける保湿ケア。
いったいいつまで続ければいいのでしょうか。
ズバリ、答えは「塗らせてくれなくなるまで」です。
赤ちゃん時代から毎日保湿剤を塗っていると、大きくなっても「そういうものか」と塗らせてくれるので、我が家の場合は小3男子も入浴後は保湿剤を塗っています。
ただ、そろそろ恥ずかしがって塗らせてくれなくなるかな~という感じ。
そうしたら、あとは本人に塗らせるか、拒否するなら諦めるかしかありません。
女の子の場合は、そのうち自分で保湿ケアを始めるようになります。
そこまで行けば、あとは本人にバトンタッチ。
乳幼児期の保湿が、大人になっても健やかなお肌の基本になると言われていますので、少なくとも小学校に入る前くらいまではしっかり保湿を続けてあげてくださいね。
まとめ
現在は、「赤ちゃんには保湿ケアが必要」というのが定説です。
保湿ケアは産まれたときから、塗らせてくれなくなるまで。
毎日毎日大変ですが、子どもとのコミュニケーションにもなりますし、子どもの健康状態を把握するのにもとても役立つので、ぜひ楽しんで続けてください。
保湿剤の選び方については、以下の記事を参考にどうぞ。
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【薬剤師ママが選ぶ】赤ちゃんの保湿剤の選び方とおすすめランキング
赤ちゃんの保湿剤は色々あって、迷ってしまいますよね。
薬剤師で乾燥肌の息子を持つママが、保湿剤の選び方からオススメの保湿剤まで、詳しくご紹介します。